近年、骨董品の市場は拡大しており、高額取引される品物も多く存在します。
一方で、巧妙に作られた贋作も出回っており、高価な買い物をしてしまった後に後悔する人も少なくありません。
そのため、大切なのは、購入前に本物かどうかを見極めることです。
今回は、専門家に見てもらう前に、ご自身で骨董品の真贋を見分けるためのいくつかのポイントをご紹介します。
骨董品の贋作を見分けるポイント
材質の確認で時代考証を行う
骨董品の材質は、その年代や起源を特定する上で重要な手がかりとなります。
例えば、陶磁器であれば、土の種類や釉薬の成分、焼き方などを分析することで、制作年代を推測できます。
また、金属製品であれば、含まれる金属の種類や含有量、製造方法などを調べ、時代背景と照らし合わせて真贋を判断する必要があります。
古い時代のものとされる品物であれば、その時代の材料が実際に使われているか、当時の技術で製造可能かどうかを慎重に検討することが重要です。
さらに、現代では容易に入手できる材料が、古い時代の品物に使用されている場合は、贋作の可能性が高いと言えるでしょう。
加えて、材質の劣化具合も重要な要素となります。
長年の風雨や経年変化によって生じる自然な劣化の痕跡は、贋作には真似できない部分なのです。
これらの点を注意深く観察し、専門書や文献と照らし合わせることで、より正確な鑑定を行うことができます。
細部の造りで真贋を見極める
骨董品の細部の造りにも、真贋を見分ける手がかりが隠されています。
例えば、漆器であれば、漆の塗り方や研磨の技術、金銀などの装飾の細かさなどを観察します。
古い時代の漆器は、現代のものとは異なる独特の技法や風合いを持つことが多いのです。
また、陶磁器であれば、絵付けの筆致や釉薬の垂れ方、窯傷などの細部を注意深く観察することで、制作年代や技法を推測できます。
特に、手作業で作られた骨董品は、機械生産品にはない微妙な差異や個体差が存在します。
これらの細部の造りを丁寧に観察し、類似品と比較することで、真贋を判断する精度を高めることができます。
例えば、同じデザインの複数の品物を比較することで、微妙な違いを見つけることができるでしょう。
時代背景に合致する技法をチェック
骨董品の真贋を見極める上で、時代背景に合致する技法かどうかを確認することも重要です。
各時代の美術工芸品には、特有の技法やデザインが存在します。
そして、それらが時代背景と一致しなければ、贋作の可能性が高いと判断できます。
例えば、江戸時代の陶磁器に、明治時代の技法が使われている場合は、贋作である可能性が高いでしょう。
それぞれの時代の技術水準や美的感覚を理解することで、より正確な判断を行うことができます。
そのため、骨董品に関する専門書や文献、博物館などの資料を参考に、それぞれの時代の特徴を理解しておくことが不可欠です。
また、複数の資料を比較することで、より正確な情報を得ることが可能となります。
専門家に相談する
自分で判断できない場合、信頼できる専門家に相談することが重要です。
骨董品の鑑定は、専門的な知識と経験が必要な高度な技術といえます。
自身で判断に迷う場合は、躊躇せずに専門家の意見を求めるべきです。
複数の専門家に鑑定を依頼することで、より客観的な評価を得ることができます。

骨董品を自分で簡単に鑑定する方法は?
目視で確認できる傷や汚れをチェック
骨董品には、長年の使用や経年変化によって生じた傷や汚れが付着している場合があります。
これらの傷や汚れは、自然な経年変化によるものなのか、人為的なものなのかを注意深く観察することで、真贋を判断する手がかりとなります。
例えば、表面に付着した汚れが、簡単に落とせないほど深くまで染み込んでいる場合、それは長年の使用によって生じた自然な汚れである可能性が高いといえます。
一方、人工的に付けられた傷や汚れは、自然な劣化とは異なる特徴を持つことが多いので、注意深く観察する必要があります。
傷や汚れの形状、位置、深さなどを詳細に記録することで、鑑定の精度を高めることができるでしょう。
資料と照合して真贋を判断
入手した骨董品が本物かどうかを確認するには、様々な資料と照合することが有効です。
専門書、図録、インターネット上のデータベースなどを活用して、類似の品物がないか調べます。
また、デザイン、材質、技法などを比較することで、真贋を判断することができます。
複数の資料と照合することで、より正確な判断を行うことができます。
特に、図録や専門書には、骨董品の詳細な情報が掲載されているため、非常に有効な資料となります。
これらの資料を参考に、骨董品の年代、産地、作者などを特定することで、真贋を判断できます。
贋作の特徴を理解する
贋作を見分けるためには、まず贋作の特徴を理解することが重要です。
贋作は、本物に似せるために様々な工夫が凝らされています。
しかし、よく観察すると本物とは異なる点がいくつか見つかります。
例えば、塗装のムラ、細部の造りの粗さ、材料の質の低さなどです。
これらの特徴を理解することで、より効率的に贋作を見分けることができます。
また、贋作の製造方法や販売方法に関する情報も収集することで、より精度の高い鑑定を行うことができるでしょう。

まとめ
近年、骨董品市場は拡大しており、高額品を購入する際には真贋の見極めが重要です。
材質や細部の造り、時代背景に合致する技法を確認することで、贋作の可能性を判断できます。
目視での傷や汚れの確認や、専門書・資料との照合も効果的な方法です。
さらに、自分で判断が難しい場合は、信頼できる専門家に相談することが推奨されます。
これらの手順を踏むことで、安心して骨董品を楽しむことができるでしょう。
私たち株式会社坂井美術では、長年にわたり骨董品の鑑定や取引を行い、数多くの経験と実績を積み重ねてきました。
贋作の見分け方は一朝一夕で身につくものではなく、素材・技法・時代背景など多角的な知識と確かな鑑識眼が必要です。
当社では、専門の鑑定士が一品一品を丁寧に拝見し、真贋の判断だけでなく、価値や魅力を正しくお伝えすることを大切にしています。安心してご相談いただける体制を整えております。